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前回、前々回と、文庫版『「龍使い」になれる本』の発売から内省したことにより、改めて強く感じたことについてお伝えしました。ビジネスシーン、日々の暮らしや人間関係とさまざまな場面で必要とされるのが想像力、洞察力であるということ。そして、そのような目に見えないものと論理的な考え方とのバランスが大切だということ。
【前々回】『「龍使い」になれる本』文庫化が私に教えてくれたこと
【前回】文庫版『「龍使い」になれる本』から考えるビジネスマーケティング
3回目の今回は、想像力・洞察力の源ともなる五感や情緒と論理的な考え方とのバランスについてさらに深掘りしていきます。
論理だけでは決断はできない?
人生は決断の連続です。
毎日の生活も無意識のうちに「決める」ことで成り立っているものです。今日、何を着ていくのか、仕事の手順は? ランチはどうする? など1日の中でも数えきれない選択をしています。数限りなく選び、決めては進んでいくのが日常でしょう。些細なことと思われるかもしれませんが、これらの決断が生活の質を左右していると思いませんか?
ましてや、経営者や責任ある立場の皆さんにとっての「決断」は、多くの人々のその後を決めるといっても過言ではありません。その責任や重圧たるや並大抵なものではないはずです。
もちろん、決断のためにはデータや数字を元に、論理的思考を積み上げていることでしょう。ですが、実は案外、最終的には自分の置かれた状況と感情により決断をしていることも多いものなのです。
自分がどういう自分であり続けたいかという信念。自分がここまで生きてきたストーリーを元にどう動くか。メンターからの言葉や本の中で感銘を受けた一文。先人たちが築いてきた想いなどの情緒的なことが、選択の決め手になったというお話を私も多く聞いてきました。人間の決断は論理だけでは動かないものということなのです。
情緒・五感が大切とはいうものの
情緒が決断の大きな要素になるとはいえ、それだけに偏ってしまうのにも危険がはらんでいます。
例えば、世の中で論じられている、さまざまなことについて考えてみましょう。
いくつかの意見があったとして、大衆を味方につけた方が正義となるという状況を見たことはないでしょうか? 私も含めた大衆というものは、それぞれの内実を100%知り得るわけではありません。でも、その時の雰囲気で「それが正しい」と思い込んでしまう傾向があります。雰囲気というのは、情緒そのものであり、五感で感じるもの。
人間というのは雰囲気に飲みこまれやすいものだと知っておく必要があります。
また、個人的なことを考えると、体調によっても心の感度には、ばらつきが出てしまうものです。
さらに、経営判断の場面でも、情緒が過ぎて、「あの人にはお世話になっているから」と、義理人情にだけ流されてしまうと、今でいう、「忖度」になってしまうわけです。
そうであれば逆に、人間は情緒に流されやすいものだと自覚しておけば、ただ流されるままにはならないはずです。自分の情緒はどの程度の感度なのかを意識してみてください。どういったものに心が向くのか、取り込まれやすいのか。それも、何もかもをひとくくりで考えるのではなく、ジャンルや状況ごとにどう感じるのか。知っておくだけで、その時々のベターな判断に繋がることでしょう。
情緒と論理をバランスよく行き来する
より良い選択、決断をするためには、情緒と論理のバランスが大切だということです。バランスと言っても、天秤やシーソーのように同等の重さで釣り合いがピタリと取れればいいというわけではありません。どちらかのみに偏らず両方を行き来しながら、ちょうど良いところで決められるのがベスト。行き来しながら、というのがポイントです。
生きている以上、変わらないということはありません。世界もどんどん変化していきます。
そんな中、想像力や洞察力を高めて、相手の求めるもの、長期視点で将来を展望する。そして、五感を磨いて情緒を大切にする。さらに、内省を深めて自分の弱さに向き合えるタフさを身につけていく。そうして、一つひとつ丁寧な決断の上で行動し、望む未来へご自身で向かっていただきたい……と、そんな想いを込めているのが、文庫版『「龍使い」になれる本』です。
文庫版『「龍使い」になれる本』は、発売からまだ1ヵ月少し。これからまた、私も新たに気付いていくことがあるかもしれません。お手に取っていただき、ぜひ、どんなことを感じたかを教えていただけましたら、うれしく思います。
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