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旧日本海軍が所有していた艦はほとんどが悲劇的な結末を迎えています。ですが、そんな中でも不思議なほどに被害を受けることなく生き残った艦が何隻かあります。
「幸運艦」と呼ばれる艦の1隻、駆逐艦「時雨」について、今回はお伝えしたいと思います。
目次
8度もの大きな戦をくぐり抜けた「幸運艦」
駆逐艦「雪風」とともに幸運艦として有名な駆逐艦「時雨」は、1933年(昭和8年)12月9日に神奈川県の浦賀船渠で起工されます。その2年後、1935年(昭和10年)5月18日に進水し、1936年(昭和11年)9月7日に竣工、横須賀鎮守府に籍を置きます。
「時雨」は、白露型駆逐艦の2番艦ですが、実は当初、有明型駆逐艦として建造される段取りでした。1番艦の「有明」から「夕暮」、「白露」、「時雨」、「村雨」、「夕立」、「春雨」と7隻が有明型として建造される予定だったのです。ところが、何か諸事情があったようで、「有明」と「夕暮」が初春型駆逐艦に分類されます。そして、「白露」を1番艦とする白露型が定められ、その2番艦となったのが「時雨」でした。
「時雨」が幸運艦とされるのは、8度もの大規模な戦いに参加し、大きな戦績を収めつつ生き延びてきたからです。「時雨」の9度目の戦いはレイテ沖海戦でした。このときには戦艦「扶桑」、「山城」も所属する第1遊撃部隊第3部隊に所属。そして、これが「時雨」にとって最後の戦いとなってしまいます。
大型タンカーなどの護送船団としての任務中、米軍の潜水艦の雷撃を受け、1945年(昭和20年)1月24日にマレー半島沖で沈没したのでした。
「呉の雪風、佐世保の時雨」とまでうたわれた幸運艦
「時雨」の艦内神社は、他の駆逐艦と同じく、皇大神宮です。「時雨」のみの慰霊碑などはありませんが、レイテ沖海戦より以前に所属していた第27駆逐隊としての慰霊碑が長崎県の佐世保海軍墓地にあります。お近くにおいでの際は、ぜひ慰霊にお立ち寄りいただけたらと思います。
「時雨」の船体は今でも、マレー半島沖の水深55mの地点に沈んだままです。船体は真っ二つに分断され、10mほど離れた状態にあり、地元の漁師により漁網でカバーされているそうです。現在、その付近はダイビングスポットとなっています。とはいえ、「時雨」が眠るのは55mの深さの海底です。
人間の体が耐えられるのは基本的には水深30mくらいまでの水圧といいますから、簡単に潜って見に行くことはなかなかできないでしょう。特殊な訓練を受けると、60mくらいまで潜れるそうですが、それでも1時間かけて潜って見られるのは10分ほど。そこに存在するとわかっていても、今の「時雨」の姿を見るのがなかなか難しいとは残念なことです。
そして、「雪風」とともに数々の幸運と多くの戦績を収めてきた「時雨」は「呉の雪風、佐世保の時雨」とうたわれるほどに「幸運艦」として称賛されていました。これは、日本の中だけにとどまるものではありませんでした。
米軍の旧海軍少将サミュエル・モリソンという方がいます。第二次世界大戦後、その方は海軍史の研究者となり、その自著の中で「時雨」のことを「幸運艦」、あるいは「不滅艦」と記したそうです。
敵国の少将の立場から見ても、「時雨」は「幸運艦」として顕著であったということでしょう。すごいことですね。
さまざまな形で愛される「幸運艦・時雨」
私自身、「艦隊これくしょんー艦これー」をプレーし始め、艦や艦内神社に興味を持ち始めた頃に知ったのが「時雨」だったこともあり、思い入れが強い艦でもあります。
少し「艦これ」のお話になりますが、やはり「時雨」は「幸運艦」ということもあって、キャラクターのステータスの中の「運」という値が高めに設定されており、とても強い艦になっています。人気も非常に高いキャラクターです。ですから、私も含め多くのプレーヤーはゲーム内でお世話になったのが「時雨」だったのではないかと思います。
また、プラモデルとしても人気があるようで、たびたび新たな型のものが発売されています。
「時雨」単体のものはもちろんですが、「雪風」と合わせて「幸運艦セット」として発売されているものも多く見られます。
このように、沈没し、長い年月が経ってもなお「幸運艦」としてさまざまな形で愛される「時雨」。
その幸運にあやかりたい気持ちもありますが、それ以前に、参加した戦いの中で命を落とした多くの方々への慰霊の想いも忘れずにいたいと思います。
もう1隻の「幸運艦」、駆逐艦「雪風」についてはこちらのブログをご覧ください。
【光輝ブログ】駆逐艦「雪風」~たくさんの大きな戦いを潜り抜けながらも終戦まで生き残った幸運艦~
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