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日本神話は、古代から各地に語り伝えられてきた日本の神様たちの物語。日本の国の成り立ちやたくさんの神様のエピソードが集積されてはいますが、単なる読み物、ファンタジーとカテゴライズするのは早計です。日本神話の構造や神々の振る舞いは、ビジネスや暮らしに役立つ鍵となる示唆に富んでいるのです。
今回は、日本神話がなぜビジネスや暮らしに役立つのかを深掘りしていきましょう。
物語として伝承されたのは大切なことだからこそ
「古事記」や「日本書紀」をはじめとする古典や各地の言い伝えや伝説として残されている日本神話。神様が次々に島や神様を生み出し、日本の国を作った……と、そのまま受け止めると、どう考えても荒唐無稽なお話としか思えないのは事実。
しかし、このような物語として伝わっているのにも理由があるのです。
日本の政治的な中心地から各地方に至るまで、先人たちが、必ず子々孫々に伝え継いでいかなければならないことがさまざまあったはず。
例えば、ここには大きな地震が来るから建物を建ててはいけない。地震が来たならば船で沖に逃げなさい……。
そういったどうしても受け継ぎたいことこそ、物語という伝達方法で伝えられているのです。
なぜなら、物語というのは面白いものだから。これが教訓めいたお話ばかりだとどうでしょう。いくらご先祖が残してくれた大事な話だとわかっていても、少しおざなりになってしまいそうではありませんか? 緩急のついたメリハリある面白いエピソードであるというところがポイントなのです。強い興味を引けば進んで聞こうとしますし、そうして見聞きしたことは鮮明に色濃く記憶に残りやすいもの。
そこで、物語という形をとり、時代から時代へ本質を保ちつつも少しずつ組み替えられながら伝わってきたのが、現在の日本神話というわけなのです。
物語を読み解く洞察力がビジネスに効く
時代に合わせて形を変えながら伝えられてきた日本神話は、大いなるメタファーであるともいえます。ですから、令和を生きる私たちが字面のまま読むと、ファンタジーとしての捉え方しかできなくても仕方ありません。
ここで大事なのは、暗に何を伝えたいのかを読み解こうとする洞察力なのです。その洞察力を磨く題材として最適なのが日本神話だということ。日本神話の中には何層にも渡って先人の知恵がメタファーとして重ねられているからです。
洞察力はビジネスにおいて、重要なキーとなります。
ビジネスの場も、人と人との関わりから成り立っています。ビジネスパートナーや上司、営業先のお客さまとコミュニケーションをはかる時。相対する本人も認知していないような心の動きや無意識の想いをニーズとして受け止められたとしたら。お相手からしたら、「自分でも気付かないようなことに気付いてくれた」と、あなたに一目置き、話を聞いてみようと心の扉を開いてくれるのではないでしょうか。
このように、洞察力は相手の状況や心の動きを先回りして受け止めていく力となるのです。洞察力は思いやりにも繋がります。自分の想像できない世界はないものとするのではなく、進んで想像して気遣いをすることでビジネスの場面でもスムーズなコミュニケーションが成立していくはずです。
日本神話を読み解くことで、どんどん洞察力を磨いていってほしいのです。
「イザナギとイザナミ」のエピソードから読み解けるもの
では、数ある日本神話のエピソードの中から「イザナギとイザナミ」のお話を読み解いてみましょう。
イザナギとイザナミは夫婦神であり、兄妹でもあります。ここからすでに、現代の倫理観でいくと、おや? と思うところでしょう。しかし、ここで兄妹であるということは同じカテゴリー、つまり同じ種類のエネルギーを持つ者同士であることを意味します。
さらに、夫婦というのはお互いを補い合う、陰と陽の存在ということ。ここで、どちらが陰か陽かというのは問題ではありません。状況に応じてサポートし合う存在といいましょうか。前面にでるか、バックサポートに回るか、得意分野に応じて変えていけば良いのです。すなわち、一番小さなチームということ。そんな彼らが陰陽のエネルギーを掛け合わせて、さまざまなものを生み出していくわけです。
その際に、2人の神様はまずは自分を観察するのです。つまり、自分の得意・不得意や今、どういう状況にあるのかと、それぞれが自分を知ろうとします。
これはまさに、私がよくお伝えしている、自分の強みや弱みを知っていきましょうということですね。
そうして、イザナギは自分には突き出た部分がある、イザナミはへこんでいる部分があるとお互いにはない部分を見つけ、パズルのピースを合わせるように合わせてみます。するとエネルギー変化が起こり、子(新しい島)たちが生まれるわけです。ところが、その子たちは手足もなく、丈夫な子ではありませんでした。
そこで、どうしたらよいかと他の神様のところにお知恵を借りに行きます。神様たちのアドバイスを受けて、その通りにしてみると、今度は次々と元気な子たちを授かり、それが日本の国とあらゆる神様になっていったのです。
というのが「イザナギとイザナミ」のお話の概要になるわけですが、このエピソードの中には
・自分を観察する
・自分の強みと弱みを見つける
・強みはしっかり磨き、弱みは相手の強みと合わせて補強する
・振り返りをしてフィードバックを受け、再度挑戦してみる
といった要素が隠されているわけです。このように読み解くことで、ビジネスや暮らしに直結した知恵となるとともに、日本神話の面白みも増すのではないでしょうか。
加えて、参拝する神社を選択する時の情報として、「イザナギとイザナミ」が夫婦で祀られている神社からは「掛け合わされるエネルギーが化学反応を起こし何かを生み出す」。あるいは、「自分の強み、弱みを観察して見出す」。「観察眼を磨かせていただく」といった後押しをいただけるかもしれない、と覚えておくとよいかもしれません。
このような視点で捉える日本神話や地域に伝わる伝承は、まさしく先人の知恵の宝庫です。ご自身の洞察力を働かせて、どんどん取り入れていってくださいね。
こちらの記事では、歴史を事例集として捉えるコツをお伝えしています。
【関連記事】歴史をビジネスの豊かな事例集にするためのコツ
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