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慰霊の心を届けるために、旧日本軍の軍艦内にお祀りされていた艦内神社についてお伝えしているこのブログですが、艦内神社についての理解をもっと深めていただきたいと考えています。
そこで、基礎知識として以前、お届けした「軍艦の機種」に続いて、今回は「連合艦隊」についてお伝えしたいと思います。
【光輝ブログ】艦内神社への理解を深めるための「軍艦の艦種のキホン」
目次
歴史を知識のみにとどめるのではなく未来への糧とするために
私は大杉日香理と共に全国を代理巡拝で巡る中で、艦内神社にも伺い、遠く離れた場所に眠る先人の方たちへの慰霊の気持ちを届けようとお祈りをしています。世の中であまり知られることのない艦内神社について多くの皆さまにも知っていただきたいという想いもあり、こちらのブログでいろいろお伝えしております。
ただ、アテアのサービスは歴史を学び、過去を振り返るだけが目的ではありません。先人たちの残した知識や想いに目を向けることで、今、存在する私たちがこれから先の未来の方向性を定め、どのように進んでいくのか、自分を見つめる糧にするということが根本にあります。
ですから、私がお伝えする艦内神社も、その切り口のひとつであり、艦内神社についてより深く知っていただくことも皆さまの望む未来に繋がっていく手掛かりであると捉えていただければと考えています。
さらに、その艦内神社を理解する一助として、今回は「連合艦隊」についても知っていただけるとうれしく思います。
実戦部隊のエリートが集結した「連合艦隊」
「連合艦隊」とは、2個以上の艦隊で編成された中核部隊のこと。
編成が始まった明治初期の頃は、「警備艦隊」と呼ばれていました。「連合艦隊」として成立したのは日清戦争が始まってからでした。戦争に突入するにあたって、「警備部隊」では状況と合わないということで正式に「連合艦隊」となったそうです。
「連合艦隊」には、有能な人材を集中的に配備していきました。それは中央ばかりでなく、各地方に散らばっていた優秀な人材にまで及びました。実戦部隊のエリート集団というわけです。
もちろん、「連合艦隊」そのものはそれによって秀逸なものになりました。しかし、同時に困ったことも起こったのです。
それまでさまざまなところに配備されていた優秀な人材が「連合艦隊」に集中することで、極地警備の部隊や海上護衛部隊の人材の育成が滞ってしまうという事態を引き起こします。そして、このことにより、1944年の10月のレイテ沖海戦までに、海上護衛部隊、対潜哨戒部隊の編成が間に合わず、結果として「連合艦隊」の壊滅にまで及ぶ敗北となってしまいました。
「連合艦隊」の旗艦は戦艦だけではなかった
「連合艦隊」の中心となるのが旗艦です。旗艦には連合艦隊司令部がおかれ、そこから全体の作戦指揮を執ります。
「連合艦隊」の旗艦というと、「大和」や「武蔵」といった戦艦のイメージが強いかもしれません。ところが、2隻だけ戦艦ではない艦がありました。
1隻目は初代の旗艦である防護巡洋艦「松島」で、日清戦争を戦います。二代目の戦艦「三笠」からは、代々、戦艦が旗艦となります。先日お伝えした「長門」もかなり長い間務めていました。そして、最後が軽巡洋艦「大淀」となります。
最後の旗艦が戦艦ではなかったのには、その当時の日本の危機的状況が如実に表れています。もうこの頃には、日本には出陣できる戦艦がなく、追い込まれてしまい、軽巡洋艦の「大淀」を旗艦に立てるしかなかったということです。
大和神社に残る「連合艦隊」の姿
「連合艦隊」は全国各地からエリートが集められたわけですが、艦種を特定して選んでいたのではなかったようです。旗艦となる戦艦を守る形で、その時代に合わせて、駆逐艦、巡洋艦が選ばれていました。極めて稀ですが、戦艦が2隻いたときもあったそうです。
ただ、集められた艦は、やはりエリートというだけあって、駆逐艦「時雨」、「涼月」、「冬月」など現在も名前が記憶されている有名な艦ばかりです。
大和(おおやまと)神社の戦艦大和展示館に奉納されている戦艦「大和」の出撃の絵には、当時の「連合艦隊」の姿が描かれています。駆逐艦「雪風」、軽巡洋艦「矢矧(やはぎ)」などが「大和」を守る様子が見られます。ぜひ、大和神社にお参りする際にはご覧いただきたいと思います。
今も姿が見られるといえば、二代目の旗艦であった戦艦「三笠」でしょうか。
神奈川県横須賀市の海上自衛隊横須賀地方総監部に記念館として保存されており、艦内を見学することもできます。「三笠」の艦内神社である福岡県福岡市にある筥崎宮のお札も当時の神棚を復元してお祀りされているそうです。
「されているそうです」というのは、私もまだ「三笠」の中の艦内神社にはお参りすることができていないからです。元の神社である筥崎宮の方には何度か伺えているのですが、近い横須賀の方になぜか行くことができずにいます。これも、代理巡拝の不思議なところです。自分が行きたいところに行けるわけではなく、今、本当に必要なところにしか行かせていただけないように流れが決まっているのです。いつか、ご縁が繋がって、「三笠」に対面できる日を心待ちにしています。
歴史を振り返り、今をそして、未来を考える
「連合艦隊」の成り立ちから最後までを追っていると、現在の日本の状況と似ているところがあるように思えてなりません。
「連合艦隊」の中心主義は一時的には、強い艦隊を作ることができました。ですが、無理にエリートを集めすぎたために、残された場所で後続の人材を育てることができずに、それが引き金となる形で敗北してしまいます。
会社内のグループなどでも同様のことが起こっているところがあります。
私は、趣味でゲームやアニメなども好きですので、ついその業界になぞらえて考えてしまうのですが、例えばアニメ業界では重鎮と呼ばれる人を中心に仕事をしすぎた結果、アニメーターやシナリオを考える人材のレベルが伸び悩んでいるそうです。「クールジャパン」などと、戦略的に世界へアピールしているにもかかわらずです。
あるいは、「連合艦隊」の最後は、壊滅的な状況となり、アメリカ軍などの敵国が航空母艦を中心とした空中戦を戦いの主力としていたにもかかわらず、「連合艦隊」としての戦略を捨てきれなかったというところも特徴的だと感じます。新たな情報を取り入れることをせず、後れを取り、負けてしてしまうというのはなんともやり切れません。
しかしながら、同じような状況となっているのが、eスポーツの世界です。
eスポーツとはコンピューターゲームをスポーツのような競技として捉え、対戦を行うもので、世界規模の大きな競技会がどんどん開かれています。
韓国などでは早くから国としての支援が行われ、急成長を遂げています。ところが、日本では企業単位での支援はあるものの、国がこの分野の成長を促すことはされていません。現在、国際オリンピック委員会もeスポーツに注目し、イベントを主催するなどし始めているというのに、日本はこの新しい動きに後れを取っているというわけです。
eスポーツばかりではなく、近頃では、ゲーム開発の分野でも韓国や中国に追い抜かれつつあります。
一度良いと思ったものにこだわり続けるのではなく、情報の新陳代謝を行い、勇気をもって新しいものを取り入れる判断をするというところが、「連合艦隊」の失敗の頃から変わっていないのではないかと思ってしまいます。
変化するというのは怖いことでもありますから、すぐに何もかもを変えるというのは難しいでしょう。それでもやはり、新しい未来をつくっていくためには、過去から学び、少しずつでも変化していくことは大切ではないかと考えています。
これからも、艦内神社の探求を続け、どう未来へ生かしていけるかを考えていきますので、ご一緒に想いを馳せていただけましたらうれしく思います。
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【光輝ブログ】パターン化と事前準備と相手を五感で感じること~経営心理をゲームから読み解く試み ①~
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