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人間は神様で、神様は人間? 日本神話を活用した「固定観念」の外し方

2021年11月18日

立場のある人ほど固定観念に縛られる

「いくつになってもチャレンジしたい!」
誰もがそんな気持ちを持っているのではないでしょうか。

実際に、バイタリティあふれる経営者や重役ともなると、プライベートでまったく経験のない新しいことに取り組んだり、引退後に新規で事業を立ち上げたりと、大きな一歩を踏み出す方もいます。

ですが、一方では社会経験豊富な方ほど、意外とこの一歩を踏み出すのが難しくなる傾向にあるのも事実です。
なぜなら、立場のある人ほど、脳機能的にも、また心理的にも、守りに入りやすくなるからです。

社会経験が長ければ長いほど、人は固定観念に縛られるようになります。
また、社会的にある程度の地位を確立すると、失敗を恐れるようにもなります。

すると、チャレンジをすること自体、自分が思っているよりもハードルが高くなってしまうのです。

そんな時、固定観念を払拭し、新しい視点をもたらすにはどうすればよいか。
それには、やはり先人に学ぶのが一番であり、日本神話はとてもよい“参考書”になります。

初代天皇は神から生まれ、人になった

今回は、日本国の創始者・初代天皇、神武天皇にまつわるお話です。

皆さんも名前は聞いたことがあるかとは思いますが、どんな天皇なのか、詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。

初代天皇という極めて重要な役割を担った人物であるにもかかわらず、なぜか歴史の教科書などでは詳しく取り上げられていないので、仕方ないのかもしれません。

ここでまず注目していただきたいのが、神武天皇の親や祖父・祖母など先祖はすべて神様ということ。
そして、神武天皇はその神様の子孫なのに、神ではなく、人間だということです。

つまり、神様と人間のハイブリッドのような存在なのです。

あくまで神話上なので実在しないという歴史学者も当然います。
実在としてはあやふやであり、歴史学としては曖昧なのも事実です。

ただ、重要なのは、そうした由来から始まった天皇家が今に続いているということであり、現在も天照大神の子孫という位置付けになっていることです。

もちろん、今の天皇陛下は誰がどう見ても人間です。
しかし、その祖先は神様であるということは誰もがなんとなく受け入れていて、わざわざ疑問視する人はあまりいません。

問を抱かなくなる「当たり前の罠」に注意

天皇は人間か、それとも神様か。
神話という性質上、「所詮はフィクションだから」という感覚で見ていると、些細な問題と捉えてしまい、こうした点について整合性を取ろうとは考えない人は多いようです。

しかし、これぞ「当たり前の罠」で、一般的に受け入れられていて、当たり前だと思っていることをあえて疑問視し、調べる人は本当にごくわずかしかいません。

実は、そうした習性はビジネスにおいても同様のことがいえます。
経営者を例にすると、事業を立ち上げたばかりの頃は、すべてが新鮮で新しいチャレンジばかりですから、すべては“当たり前”ではないわけです。

しかし、これが時間が経ち、経営にも慣れてくると、途端に何もかもがいつも通りの作業になっていってしまいます。

こうなると、スタートしたばかりの頃なら感じられた疑問や改善点が見えなくなり、問題定義すらもできなくなっていきます。
それによってお客様の要望がわからない、売れ行きがイマイチだ、と負の連鎖に陥っていくのです。

つまり、今の立場や状況が当たり前になればなるほど、自分の視点から「お客様の視点」が見えなくなっていくということなのです。

シーンが違えば誰もが消費者になる

天皇の祖先は天照大神であり、神様だということは、必ずどこかで、何かの理由によって天皇は人間になっていったはずです。

ですが、調べてもそんな経緯はどこにも記載されていません。
日本神話では、なんの説明もなしに、神武天皇という存在は当然のように人間という扱いを受けている。

ますます疑問は深まるばかりです。

しかし、よくよく読み解いていくと、そもそも神様なのか、人間なのかという垣根すらないということがわかっていきます。

ストーリー上、神武天皇からは人間です、と分けているだけであって、話中に何かしらの儀式をしたから人間になった、とか、例えば秋篠宮家の長女・眞子さまのように、皇籍から離脱したから一般人になった、といったことでもありません。

つまり、神様と思って読んでいたもの、捉えていたものが、実は人間かもしれないという視点でも見ることができるし、逆もまた然りです。
そうした観点を一度持つと、神様と人間が並列にも見えてくるようになります。

こうした視点は、ビジネスの中でも活用することができます。
常に商品・サービスの提供する側でいるうちに、私たちはつい、売り手の視点でしかモノを考えられなくなっていきます。

しかし、日本神話で、人間が神様で神様が人間、と垣根がなくなるように、販売側は相手をお客様と思っているけれど、自分もまた一人のお客様でもあります。

どちらかがお客様で、どらちかが販売側だと区切っているのは自分であって、実はシーンが違えばどちらも同じ消費者なのです。

本当に“お客様の視点”で捉えられているか?

販売側として、自社の商品・サービスの良さやメリット、また営業としての売りは熟知しているでしょう。
ですが、一人のお客様として売り場に足を運んでみた時に、はたして販売側から見た商品・サービスの魅力は目に見えるカタチになっているのでしょうか?

また、商品・サービスの売りだと考えていたものは、お客様が望んでいるものと合致しているのでしょうか?

一消費者として商品・サービスと対峙した時、自分はそれがほしいのか、物足りないのはどの部分なのか、どんな改善をするとより魅力が増すのか。
垣根を取り払うことができれば、本当の意味で、お客様の視点で捉え直すことができるはずです。

「なんだ、お客様の立場に立って考えるなんて、ビジネスの基本じゃないか」
そんな声も聞こえてきそうですが、一度身についてしまった固定観念を外すのは、意外と難しいものです。

人はどこまでいっても主観でしか物事を捉えることができません。
そう考えると、「今の視点がこれまでと違うものかどうか」という判断も主観なので、捉え直すという作業は思った以上に高度なものといえるでしょう。

そんな時こそ、日本神話を手に取ってみてください。
神様と人間の違いについて読み解いていくと、「当たり前」の視点が外れて、思わぬヒントが手に入るかもしれません。

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