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神社参拝のときに知っておいてほしい、 土地の守護と神社の成り立ち

2021年09月16日

誰もが土地からの守護を受けている

皆さんはルーツという言葉を聞くと、どんなことを思い浮かべるでしょうか。

ご先祖様や家系図などを連想する人も多いとは思いますが、生まれ故郷や自分を育んでくれた土地も忘れてはならない大切なルーツになります。

なぜなら、その土地にあなたがいた、ということは、それだけで土地のお世話になっているということだからです。

もちろん、生まれてからずっと住み続けている土地と、父親の転勤で1年だけ住んでいたというのでは、お世話になり方の度合いは違います。

ですが、その場所で一時でも生活をしたということは、さまざまな出来事があったはずです。

そして、最終的に無事成長できたということは、その土地の守護を受けたということでもあるのです。

そうした意味を先人の方々はよく理解しており、昔から土地というものが非常に大切にされてきた由縁でもあります。

これは現在の不動産や、戦国時代の土地制度などといった価値観が生まれる以前、土地が自分たちを育んでくれるという、縄文時代からの考え方です。

集落とともに拡大していった神社信仰

昔から人は、大地に感謝するとともに、対になるお天道様、つまり太陽のエネルギーにも感謝し、両方そろうからこそ豊かな実りがもたらされるという解釈をしていました。

そうした考え方が伝承されていくなかで、土地そのものに土地神が宿り、その神様を称えたり、感謝をささげたり、災害からの守護を願うための場所として、神社が誕生したのです。

当然ですが、縄文時代には日本全土を統一する政権はなく、祭祀を含め、一つの思想を広めるような方法もありません。
つまり、各地の小さな集落規模で始まった風習になります。

それがだんだんと交易が盛んになり、各地で流通が起こると、文化的な交流も起こります。
すると、各地で行われている神事が他の土地へと伝わり、参考にしたり、合同で催したりと、信仰文化も広まっていったのでした。

さらに、弥生時代以降になると、集団で定住しながら稲を育てていくようになります。
今、食べるものではなく、来年の収穫まで食物がもつように「備蓄」する風習が始まりました。

「備蓄」とは、言いかえると財産です。
こうなると、高床式倉庫などに米を貯めて、山賊などから守るようになります。

そうすると、今度は財産を守ってくれる神様を祀るようになり、続いて権力を守ってくれる神様を祀るようになり、土地神への信仰の規模もどんどんと大きくなっていきます。

その集落とその地域だけの神社ではなく、大きな地方を守ってくれる神社とか、各地にある自分の領地を守ってくれる神社など、神社の規模も大きく変わっていったのです。

お参りは「感謝を示す」ことだった

集落の形成や地域交流がきっかけとなって神社への信仰は徐々に拡大していきましたが、原点はその土地で何事もなく無事に過ごしたい、という願いです。

これをしっかりと理解しておくことは非常に重要であり、プライベートはもちろん、ビジネスの上でも押さえておかなければならないポイントになります。

時折、「どんな神社に参るとよいでしょうか?」というご質問をお受けします。
それは個々人によって変わり、これまでの経緯などの過去も含めた現状と、将来の目的との差分を見て、足りない部分を補ってくれる神社や神様をご紹介しています。

しかし、ここできちんと理解しておかなければならないのは、人はなぜ神社に参り続けてきたのか、ということです。

それは、先人の方々が自分たちを育んでくれる土地そのものを豊かさの象徴として感謝を示すという、その行為から「祀る」文化が始まったからなのです。

人によっては、神社は感謝する場所、という考え方を持っています。
これも一理あるのは、成り立ちを考えれば当然です。

例えば、ビジネスで業績をアップさせたい、よい人材がほしいといった願いを含めて、何を豊かと思うかは個人によって異なり、現代人には現代人なりの豊かさがあると思います。

ですが、そもそもその土地の上で生業をさせていただき、紆余曲折はあれど、“無事にすんでいる”ことが、まずは絶対的な豊かさであり、感謝の対象だということを忘れないでほしいのです。

「平穏無事」は当たり前ではない

現代では、「平穏無事」は当たり前のことだと考えている方は少なくありません。
しかし、それは土地の神様の守護があるからこそ、ともいえます。

そして、その当たり前の平穏があるからこそ、ビジネスでもチャレンジができるのです。
これが生存すら難しい環境にいて、下手にチャレンジなどしていたら、背中から切られるような状況だと、ビジネスどころの話ではありません。

チャンスがきたらつかみにいくことができるかどうかは、自身が今、安心安全であり、平穏無事であることが前提です。

それがどれだけ豊かであるかは、説明しなくても理解していただけると思います。
大切なのは、今のこの豊かさを、土地の神様への感謝としてどのように表すかということです。

もう一度、過去の歴史に話を戻すと、弥生時代以降は稲を育てないといけないので、現代のように簡単には引っ越すことなどできませんでした。

常に稲のご機嫌を取り続けなければならず、こうなると土地とのかかわりは絶対になっていきます。
土地の神様にヘソを曲げられてはかないません。

万が一、土地の神様のエネルギーが弱まってしまえば、実りが減り、死活問題になります。
こうなると、土地の神様の力をいかに活性化させるかということが命題になっていきます。

土地を活性化させるための「お祭り」

農家の方々はよく「痩せた土地」「肥えた土地」という表現を使います。
土地が痩せるのは、そこに宿る神様の力が弱っているのであり、逆をいえば、神様が活性化していけば必然的に肥えた土地になります。

この“活性化”をしたい時に催すのが「お祭り」です。
日本各地にさまざまな形式のお祭りがありますが、基本的には賑やかに行われています。
それはなぜかというと、神様に喜んでいただくための儀式だからです。

土地の神様に感謝という意味も含め、「一年間お疲れ様でした」と労い、また来年も肥えた土地へと活性化させるというのが目的なのです。

では、御神輿はというと、神様に乗っていただき、ご自身が守っている土地をくまなく巡回していただいて、エネルギーを振りまくという意味があります。

「わっしょい、わっしょい」と勢いよく振りまくことで、神様のエネルギーも高揚感を持たせてパワーアップさせているのです。
これが、お祭りの本来の考え方になります。

もちろん違う趣旨の祭りも日本にはいっぱいあるので、一概にすべてが同じとは言いませんが、こうした力を持つのが土地神なのです。

皆さんが神社に参拝にいく時には、こうした歴史的背景や、土地神様への信仰を知っておくと、また違った視点を持って祈願ができるのではないでしょうか。

そして、自身のビジネスの発展を祈願する時などに、先人たちが築き上げた文化やそこに込められた思いにも、ぜひ触れていただければと思います。

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人生はフルマラソン。経営はその一区間です。長距離だからこそ、適切な緩急が大切ですね。X(Twitter)でも歴史、神社、史跡を題材に経営力を高めるためのヒントをつぶやいています。

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