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自分の「取扱説明書」は常に更新しておく
近年、増えてきている働き方の一つが「パラレルキャリア」です。
本業を持ちながら、第二の活動をすることで、何が本業で、何が副業かわからない働き方から、「複業」ともいわれています。
組織人として、またフリーランスとして、ともにプロフェッショナルな活動をしている人もいて、何足ものわらじを履く方も増えてきているようです。
こうした働き方や考え方は、これまで終身雇用を信じてきた世代や、「公務員になれば一生安泰」という発想の人たちにとっては、とても理解できないのではないでしょうか。
“風の時代”はボーダレスへと変化していくものですが、今がまさにそうで、これまで積み重ねてきた社会的常識や固定概念がボーダレスになるという、とてもおもしろい時代に突入したといえるでしょう。
これからの時代は、いわゆる「看板」や「肩書き」はあてになりません。
「経営者だから」「組織人だから」といった社会的な観念や、「自分はまだ20代だから」「もう60代で体力がないから」といった自分への決めつけも必要ありません。
なぜなら、ポジションや年齢にかかわらず、人はいろいろな要素を持ち合わせているからであり、今こそ存分に発揮できるタイミングでもあるからです。
こんな時代だからこそ、これまでにどういう経歴があって、どんなことを思い、どんな家族構成で、長所や短所はどんなところにあるのか。
そうした自分の「取扱説明書」を常に更新しておくのが大事になります。
企業のトップや有名人でなくても、自分のプロフィールを自分で書けるように習得しておくべきでしょう。
自分を知ることが武器になる
プロフィールといえば、自己紹介やPRに活用されるもの、というイメージがあるかもしれませんが、ここでいうプロフィールはそうではありません。
どんな人にも人生のストーリーがあり、その人にしかない経験やそれによって生まれた物の見方があります。
そうした自分にしかない歴史や価値観をあらためて知るためのプロフィールであり、ボーダレスの今の時代にはどんな人も書いておいたほうがよいのです。
そうすることで、どんなメリットがあるでしょうか。
例えば、新しいことにチャレンジしようとしたときに「怖い」と感じたとしましょう。
それが、老いからくるものなのか。それとも、小さい頃からの性格なのか。
自分を知っておくことで、原因がはっきりと見えてくるようになります。
そして、それが年齢によるものだったとわかったら、それをどれほど怖いと思っているのか、また、どのくらいまでだったらチャレンジできるのかという、分析や対策もすぐに行うことができます。
つまり、自分を知っているということは、パラダイムシフトを上手に渡り歩くための「武器」にもなるのです。
年表は順番通りに書かなくてもOK
では、プロフィールづくりをするにあたって何から手をつければよいのか。
まずイメージとして持っていただきたいのが、「自分という歴史を年表にする」ことです。
書き方は自由で、小説のように書いてもいいし、論文のように書いてもかまいません。
あるいは箇条書きにしてもいいし、樹形図にしてもOKです。
大切なのは、生まれてからこれまでの出来事を時系列で書くということ。
ただ、最初から順番に書こうと考えなくても大丈夫です。
記憶は芋づる式によみがえるものなので、順番通りに思い出すのはとても難しいはずです。
なので、プロフィールを書くときは、とにかく思い出したところから書いていくこと。そして、1回で全部を書き切ろうとしないことがポイントです。
記憶というのは、古いものになればなるほど、たどり着くまでに時間がかかるもの。1週間後にシャワーを浴びていたら不意に思い出した、なんてことはよくある話です。
1か月くらいかけて完成するような気軽な気持ちでやることが大切です。
あとは、自分だけで思い出せないようなものは、家族や友人に聞くとよいでしょう。
記憶は知らずに改ざんしているもので、改めて周囲の人に確認してみると意外な事実がわかることもあるはずです。
過去の自分を“親バカ”視点で見てみる
一通り、年表を書くことができたら、次に同じ年表の上に「想定していなかったけど、うまくいったこと」を、違う色で書き足してみてください。
例えば、好きで描いていた絵が保育園の先生に褒められたなど些細なことでかまいません。そのような小さなことを書き込んでみてください。
もちろん、世間に認められた経験や何かのテストで100点をとった、なんてことを書き漏らしてはいけません。
しかし、そんな大きなものばかりではなく、「別に褒められたりすごいとか言われたりするなんて思ってもいなかった」そんな些細なことを思い出せるかぎり、たくさん書くのがポイントです。
過去の自分を“親バカ”視点で見てみると、スムーズにかけるはずです。
結果だけではなくて、プロセスがうまくいったことも書いてみてください。
そして、並行して、今度は「うまくやろうと思ったけど、うまくいかなかったこと」をまた違う色で書いてみましょう。
こちらも些細なことから大きなことまで、とにかくたくさん書いてみてください。
「強みの種」と「弱みの種」を見つけよう
そうすると、3つの色で書き込まれた年表ができあがります。
最初の年表は、土台であり基本の年表になります。
そして、2つめに書いたのが「強みの種」です。
年表として書き出してみると、どういった状況のときに自分は強みを発揮できるのか。そのパターンになるための発動条件は何なのか。それが見えてくるはずです。
最後に、3つ目に書いたものが「弱みの種」になります。
こちらも強みと同じで、どんな状況やパターンに陥ると失敗してしまうのか、その傾向が見えてくるのではないでしょうか。
強みにしても弱みにしても、一つではありません。
人によって数はともかく、パターンがあるはずです。そのパターンを抽出していくのです。
年表をあらためて見ると「弱みばかりになってしまった……」なんてこともあるでしょう。
しかし、それが悪いわけではありません。
そんな自分をまず知るというのが、このプロフィールづくりの主題です。
例えば、「自分ってこんな弱みがいっぱいあるんだ」とわかったとしても、「残りの人生をかけて、これを克服したからってなんだというのか」と、気づくはずです。
それよりも、力を注ぎたいのは強みの部分です。
自分の力を発揮できる条件を、自分でできるかぎり分析していってください。
そうした意味で、自分の過去はすべて“自分だけの資産”です。
気軽にできるますで、ぜひ自分を知るためのプロフィールづくりにチャレンジしてみてください。
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