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歴史は参考事例の宝庫
有名な企業の社長や成功者には歴史好きが多いといわれています。
歴史小説を楽しんだり、実際に観光スポットへ足を運んだりと、楽しみ方は人それぞれですが、歴史はビジネスとして非常に参考になる教科書でもある、というのが理由かもしれません。
いわば、経営者にとって歴史は「過去問」です。
「過去問」とは、入学試験や資格試験などで過去に出題された問題をまとめた問題集のことで、実際の試験を想定して解いたり、出題の傾向をつかむために活用されています。
つまり、過去の問題を見ることで、今後の対策を練ることができるというわけです。
過去の事例を目の前の課題解決に活用するという考え方は、試験だけでなく、ビジネスにおいても使えます。
なぜなら、歴史は原因から結果までを、一連の流れで見ることができるからです。
とある企業、偉人、武将が採った選択が、その後、どんな成果や失敗につながったかを観察し、分析することができる。そうした意味では、歴史は参考事例の宝庫なのです。
“見立てる”ことで考える力を養う
歴史を振り返り、さまざまな局面でどんな選択を採ると、どのような結末を呼ぶのか。
事の始まりから顛末までを見通すことができるのですから、経営者にとってこれほど参考になるものはありません。
日本の歴史を見ると、そのほとんどが戦いの連続です。いかに領土を拡大し、平定していくかという領主や大名の葛藤の物語とも読めます。
現代でいえば、領主は企業の社長であり、領土拡大や平定を目指す活動は、組織拡大のための企業戦略と見立てることもできます。
つまり、戦国時代はビジネスと親和性がとても高いといえる。また、先人とはいえ同じ人間同士なので、状況や立場を変えることでシュミレーションしやすくもある。
状況を推測し、立場を置き換える。つまり、“見立てる”ことは、非常によい思考実験になり、自分なりの解釈を深めることにつながります。これを繰り返すことで、考える力が養われるのです。
そして、過去を調べ、推測し、自分の答えを出すことができるようになれば、当然、未来に対しても同じことができるはずです。
今の選択が今後どんな影響を及ぼし、どのような結果に結びつくのか。歴史という過去問を解くことは、目の前の課題をクリアする力をつけるのにも大いに役立つのです。
その立場だったらどんな代替案を出せるか
ただし、ここで注意が必要なのは、歴史が正しかったかどうかについては、あまりこだわり過ぎないということ。
例えば、戦国時代に明智光秀が本能寺の変で主君の織田信長を討ったことはあまりにも有名ですが、その理由は未だに謎のままで、答えは出ていません。
以前は、光秀が信長に衆人の前で恥をかかされ恨みを持ち、それによって謀反を決行したというのが主流の説でした。
しかし、近年では新たにいくつかの説が浮上していて、信長が光秀をバカにした事実はないともいわれています。
また、光秀の「主君への裏切り」というショッキングな行動についても、そもそも忠義といった考え方自体、江戸時代以降に生まれたものであって、それほど珍しいことではなかったようです。
江戸という文化を通して戦国時代を見たことにより、主従関係を覆すほどの怒りを持って信長を討ったのではないか、という推測が生まれたのでしょう。
その時代によって物事の捉え方が違うのは当然です。では、現代にいる私たちはどのフィルターを通して物事を判断しているのか。
歴史を知るということは、自分の判断基準となっている常識を疑い、新しい視点を獲得する作業でもあるのです。
そこまで深掘りした上で、光秀が信長を討つという選択肢を取らざるを得なかったのはなぜなのか。そして、もし自分が光秀の立場だったらどんな代替案を出せるか、思考実験を繰り返してみる。
これこそが、まさに歴史が過去問だといえる理由なのです。
私たちも未来から見れば歴史の一部
歴史というと、つい過去のことを思い浮かべてしまいますが、当然、現代も歴史の一部になります。
20年から30年後には、きっと私たちの子や孫たちが社会の中心になっていることでしょう。
私たちはまだまだ現役で、ビジネスにおいて日々さまざまな選択を採っています。
もちろん、その結果はまだ見えていません。
しかし、次世代の未来の彼らから見たときに、私たちの選択は過去の事例であり、歴史となっています。
例えば今放送しているNHK大河ドラマの主人公である渋沢栄一さんは、「日本資本主義の父」といわれる、ずば抜けて優秀なビジネスマンでした。
現代のビジネスにおいても学ぶところは多く、参考になる事例は山ほどあるでしょう。
ただ、実は女性関係がだらしなかった、なんて話もちらほら…。
もちろん、渋沢栄一さんもまさか自分がお札の顔になるとか、大河ドラマになるなんて、現役時代は思っても見なかったはずです。
では、みなさんは現代に生きている今この瞬間も歴史になるということを踏まえた上で経営判断をしているでしょうか。
渋沢栄一さんのように、後世で語られるような“まさか”が起こる前提で仕事をしているかどうか。そうした視点は意外と抜け落ちているものです。
歴史は「志」の共有にも便利
未来のビジネスパーソンたちが私たちを振り返ってみたときに、果たして参考になるような仕事をしているかどうかは、まだわかりません。
しかし、できれば次世代の人たちのよい「過去問」となっていたい。
そうした思いをぶらさず、後世に恥じない生き方(ビジネス)をしたいのなら、必ず必要になるのが「志」です。
経営理念とも言い換えられる「志」は、長期計画が立てられない今のような時期においては非常に重要です。
先行きが見えないからこそ、経営方針として周囲に提示できるものは志しかないともいえます。
その志を社員と共有するにも、過去のロールモデルをイメージとして立てるのは効果的です。なぜなら、まどろっこしい説明抜きで伝わるからです。
例えば企業の今後の戦略を伝えるのに、戦国三英傑の織田信長、豊臣秀吉、徳川家康を例にあげたとして、それぞれの違いは明白です。
詳細な計画を立てられない時こそ、歴史や偉人のストーリーは貴重なお手本となり、参考書になり、イメージの共有をはかるものにもなる。
そして、今採択したその選択や機転、発想やイメージの共有方法など、コロナ禍を乗り越える策が、また次世代に向けたよい過去問になるのです。
これを意識するだけでもまた新たな視野が広がり、これからの動き方も大きく変わるはず。
今こそ、歴史をフル活用するべきタイミングといえるでしょう。
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