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世界各地に存在する「神話」。そこにはどのような共通点があり、なぜ伝え続けられているのでしょうか。今回は神話を知るべき理由と、経営者にこそおすすめしたい神話の読み方、日本神話から学べることを紹介します。
目次
世界共通の「意識」と「神話」
「集団的無意識」という心理学用語を聞いたことはありますか。
これは心理学者のカール・グスタフ・ユングが提唱した「人類はみな無意識の部分で繋がっており、共通の無意識を持っている」という考え方です。
私たちは一人ひとり
- 認識できる「顕在意識」
- 認識できない深い部分にある「潜在意識」
をもっていますが、さらにその奥に
- 一人ひとりの意識が繋がっている人類共通の「集団的無意識」
があるというのです。
そしてこの考えは、神話の世界にも見られます。
神話学者のジョゼフ・キャンベルは、世界中の神話を研究するなかで「ヒーローズジャーニー」という法則を発見しました。これは文化や風土、地域が全く違っても、世界中の神話にはある一定の「元型(もとがた)」があるという考えです。
たとえばギリシャ神話のなかに、オルフェウスとエウリュディケというカップルの話があります。
ある日、彼女のエウリュディケが亡くなり冥府(あの世)へ行ってしまうのですが、彼女を忘れられないオルフェウスは生き返らせるために冥府へ向かいます。
無事に再会できた二人はともに地上へ戻ろうとするのですが、エウリュディケは「たどり着くまで絶対に私のことを見ないで」と言うのです。しかし人間の好奇心なのか衝動なのか……地上まであと少しというところでオルフェウスはつい彼女を見てしまいます。もちろんエウリュディケは大激怒。二人は二度と会えなくなってしまいました。
というストーリーです。
この話、日本神話にも同じようなものがありますよね。イザナギノミコトが黄泉の国までイザナミノミコトを取り戻しに行く話です。
そしてこのようなパターンの神話は、他にも見られます。
つまり人類は共通したヒーローズジャーニーを集団的無意識のなかに持っていて、私たちはその影響を受けながら自分の人生を選択しているのではないかとも考えられるのです。
神話に共通するヒーローズジャーニーを使った超有名映画
この現象を活用した有名な映画があります。
それがスティーブン・スピルバーグ監督の『スターウォーズ』。彼がヒーローズジャーニーを意識してこの映画を制作したのは有名な話です。人間には、知っているゴールにたどり着くと安心するという心理があり、それを活用した一例と言えます。
つまり私たちも
神話を知ることで人類共通の「人生のストーリーパターン」を意識できるようになり、不確かな未来に対して安心感をもちやすくなります。
特に今は、先行き不透明で答えの見えない不安定な時代です。
だからこそ神話を知れば「人生にはヒーローズジャーニーという型があるから困難や苦境もあるけれど乗り越えていける」というモチベーションやタフさが、内側から湧き上がってきやすくなるのです。
これからの時代に必要なタフさとは
モチベーションやタフさは、経営者こそ求められる局面が多いと思います。
たとえばどんなに準備を重ねリソースを用意しても、社会情勢や環境要因によって想定通りにいかなくなることもあり得ます。
そんなとき、弱い生物である私たち人間は気持ちが折れてしまうもの。ホモサピエンスは集団行動で繁栄してきたという事実があるので、一人では生きられない、つまり弱い存在なのは仕方のないことです。
しかし、それでも踏ん張らなければならないときがあります。
そんなときは、竹をイメージしてみてください。真っすぐ伸びる杉の木は台風などで倒れることがありますが、しなやかな竹は曲がってもちゃんと元に戻ってきます。これからの時代に必要な自分軸は、竹のようなしなやかなタフさなのです。
現代は「風の時代」と言われ、無形のものの価値が一昔前より重要視されるようになりました。
だからこそ、どれだけ自分の無意識(無形)がもっている本来の力、タフさに気付けるかが重要です。
そしてその力となるのが、人生のパターンが記されたバイブルである神話なのです。
日本でビジネスするなら日本神話は必読書
では具体的に、世界中に数ある神話のなかでどの神話を読めばいいのかと言うと、やはり私たちは日本神話を知る必要があります。なぜならそれが、一番身近なバイブルだからです。
たとえば神話を語学辞書だとしましょう。英語辞書、ロシア語辞書、日本語辞書、日本に住む人が最初に手に取る辞書はどれでしょうか。まずは日本語という優先順位がありますよね。
同じように神話も、あなたが日本の文化風土に慣れ親しんでそこで事業や経営をしているなら、優先すべきは日本神話だということです。
経営者のなかには、『孫子の兵法』や『論語』など、中国の思想を学ばれている人も多いでしょう。これらももちろん必読書だと思いますが、比べて日本神話への注目度が低いのはもったいないと思うのです。
経営ポテンシャルを引き出す古事記の読み方
日本神話でもっとも有名なもののひとつが『古事記』です。しかしこれを単なるファンタジーやフィクションだと思って読むだけでは、そこから発展性がありません。
その神話が形成された時代背景を知ることがとても重要です。たとえば同時期に編纂された『日本書記』や、当時の歴史も連動させながら読むことをおすすめします。
それらを含めて日本神話を読み解くことで、潜在意識より奥にあるヒーローズジャーニーに触れ、自分の中にまだ眠っているタフさ、ポテンシャル、エネルギーにアクセスできるようになります。
潜在意識をどうやって活用するかというトピックは心理学の分野と思われがちですが、実は歴史や神話をとおしてでも、隠れた自分のポテンシャルにアプローチできるのです。
ぜひ人類共通の「元型」である神話を知って、あなた自身にもプログラミングされたヒーローズジャーニーを活用していきましょう。
アテアでは、「神旅®経営者版」を通してこのあたりのポイントを詳しくお伝えしています。
まとめ:神話は経営戦略やマネジメントにも活用できる
今回は、神話には人類共通のヒーローズジャーニーという物語があること、そしてそれが精神的なタフさや、隠れたポテンシャルを開くことにも活用できることをお伝えしました。
さらにこの知識は、経営戦略やマネジメントにも活用できます。なぜならヒーローズジャーニーのストーリーは全員が無意識にもっているものだから。
それを活用しながら会社の方向性や戦略を定めたり社員教育をしたり、外部とのやり取りに活かすこともできるのです。
このように多岐にわたって経営に活かせるのが神話の力です。
経営に携わる方々は、この機会にぜひ日本神話を学んでほしいと思います。
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