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劇場版「名探偵コナン 隻眼の残像」~八ヶ岳の東側を舞台に繰り広げられる物語に痺れる②~

2025年04月30日

今年も公開になった劇場版の名探偵コナン。もうご覧になった皆さまも多いかと思います。
情報収集の意味もあり、私も毎年見ますが、今回は舞台が八ヶ岳ということで思い入れが違いました。

前回に引き続き、八ヶ岳にまつわるエピソードをお伝えいたします。

このブログは①からの続きです。そちらもぜひご覧ください。
劇場版「名探偵コナン 隻眼の残像」~八ヶ岳の東側を舞台に繰り広げられる物語に痺れる①~

研ぎ澄まされた感覚で土地の力や唯一無二の地形を見つけた先人たちとナウマン博士

国立天文台 野辺山宇宙電波観測所、標高1,375mのJR鉄道最高地点を含むJR小海線、ヤツレンのポッポ牛乳やソフトクリームなど、魅力たっぷりの八ヶ岳の東側ですが、昔からさまざまな民話や伝承もあります。

一番高い赤岳の山頂にも神社の奥宮として祠が祀られています。今でこそ祠がありますが、昔は、そこまで登ってお祈りをするというよりも、集落から見える赤岳そのものを御神体として祈りを捧げていたといいます。

そもそも、赤岳の辺りの土や岩は赤いのです。つまり鉄分が含まれているということ。先人たちにすれば鉄は貴重な宝です。さらに鉄は鉱物ですから、土地に関係してくるので土地を鎮めてくれたり育ててくれたりするものです。そのような鉄の神様としての赤岳に鉄の恵みに感謝し、守りくださいとお祀りしてきたのです。

このように地質と神社の結びつきというのは重要なものです。
本当に不思議なのは、先人たちは太古から、科学技術もないのに断層など地層的に重要なポイントに神社をお祀りしてきたということです。むしろ今の技術でも掘ることができないような地下の状況を観測できていたのかは、文献などが残っているわけではないのでわかりませんが、事実として今も神社が存在します。

おそらく、体感とそれぞれの方々の知恵を結集してこの場所が大事であると判断し、お祀りしていったのでしょう。
そのような感覚の鋭さがあったのではないか……これまで延べ2万社の神社を地質や地形なども鑑みて回らせていただいた私としてそう推測します。ひと口に感覚といっても、今の私たちとは、五感が違います。察知できるものや種類、深さが違うのです。

といった、先人たちの信仰と同時に、科学者という立場でありつつ、感覚的なひらめきから大発見をした方もいらっしゃいます。1875年(明治8年)から日本に御用学者として招聘されたナウマン博士です。

東京大学の地質学の始祖ともなったナウマン博士ですが、野辺山にも訪れています。当時は新幹線もありませんから、軽井沢の方から機関車に乗り、ようやく夜中に到着します。ところが、大嵐に見舞われ、集落の家に泊めてもらいます。質素な家で激しい風雨に眠れずにひと晩過ごしたナウマン博士は、嵐のやんだ明け方、日が差してきたところで外に出てみました。明るくなった標高1,300m以上の地に、大パノラマが広がります。

目の前の八ヶ岳の全景は麓から滑らかな稜線を描きます。さらに、その左奥にそびえる南アルプスを見て、ナウマン博士はひらめきます。

八ヶ岳の地面から続く稜線に比べ、南アルプスは崖のように一気に高くそそり立っているのです。
地質学を極めて、常に地質のことを考えているからこそ、単なる景色の素晴らしさに感動するのに留まらず、ナウマン博士は「何かある!」と感じ取りました。一瞬のひらめきという感覚が結果として、フォッサマグナという世界に唯一の地形を発見するという研究成果に繋がっていったのでした。

先人たちもナウマン博士も立場はまったく異なりますが、優れた感知力で大事なものを見つけていったというわけです。

時にはフィクションの世界に没頭して新たな着眼点を磨く

野辺山には、経営者・企業向け神旅®でも訪れたことがあります。それは、先人たちやナウマン博士のような気付く力を磨いていただきたいという目的でした。

やはり、経営者の方は、数字や実績を追うこと、あるいは、周囲を説得するための材料を探しがちになります。それは論理的であり、再現性も高いかもしれません。ですが、これからの時代、今後の先行きとして、今まで通りというわけにはいかなくなっていくでしょう。

たとえ、長期計画を立てたとしても、軌道修正をこまめにしていく必要が出てくるといったように、いわゆる安定を継続していくのが難しい時代に突入していきます。
だからこそ、目には見えない土地を見る力、つまり、先人の方々がそこで営みを続けてきたということは、何かがあるはずだと探るための着眼点を磨いていただきたいと考えています。

コナンの映画はフィクションですが、あえて、フィクションという物語の中にしばし没頭して見ていただきたいのです。現実的な視点で生きていく上で、そこだけにとらわれやすい現代の方、重責を負われている経営者やリーダーの方には特にです。

フィクションであっても、その背景として、そもそもどうしてそこに天文のための施設があるのか、現代の私たちにもたどり着けないような、地中深くにあるものに想いを馳せてみる。生きるための一番の根幹になる大地、それもさまざまな重要性のある土地が今回の舞台になっているのだと思いながらご覧いただくと、何かひとつのヒントになるかもしれません。

私もすでに一度見ていますが、まだ何度も足を運ぶことになりそうです。映画についての具体的な考察はまた後日書きたいと思っていますので、お待ちください。

同じくフィクションを通じて経験値を高め、思考を深めるには漫画もおすすめです。
漫画を通して経験値を高める! おすすめは「彼方から」

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