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先日、「神社ウェルネス®」という考え方についてこちらのブログでもお伝えいたしました。
人生をより良くタフに生きるために 「神社ウェルネス®」という考え方
神社を活用して、心と体の両面をバランスよく整え、人生をより良い方向へと進めていくための「神社ウェルネス®」。
今回は一歩進めて、「神社ウェルネス®」と日本神話との関わりについてお伝えします。
「因幡の白うさぎ」は大己貴命の医療行為によって救われた
「古事記」や「日本書紀」に描かれた日本神話の世界。なかなかなじみがないというお声をよく耳にします。
しかし、少し見方を変えると、単なる空想物語ではないことがわかり、面白みがぐんと増すものです。
さて、日本神話にあまり興味がない方でも、ご存じであろう「因幡の白うさぎ」は、「古事記」の中のお話です。
大黒様こと大国主命(オオクニヌシノミコト)が主人公ですが、このお話の時点での名前は大己貴命(オオナムチノミコト)です。
明治以降、生まれてから亡くなるまで、結婚などで姓が変わるのを除いて、基本的に名前はそのまま変えないと法律で定められています。しかし、それ以前は、一生のうちに名前が何度も変わるのは普通のことでした。
特に武士の家系であれば、幼名から始まり、元服や社会的立場の変化によりどんどん名前が変わっていくのが当たり前。日本ではそのように名前が変遷する方が歴史的には長いのです。
それは、日本神話の中でも同様で、大国主命のようにエピソードの多い神様は、成長過程に応じて名前をいくつもお持ちです。神社によって異なる名前で祀られているために、それぞれ違う神様と思われていたけれども、実は同じ神様だということもよくあることです。
大己貴命は大国主命の結婚前の名前といったらよいでしょうか。
そんな大己貴命が、兄であるたくさんの神様、八十神(ヤソガミ)とともに、出雲の国から因幡の八上比売(ヤガミヒメ)に求婚のために向かう道中で起こるのが「因幡の白うさぎ」のお話です。
八十神は、現在の鳥取県の白兎海岸で皮をむかれて赤裸になった白うさぎと出会います。
「海水に浸かって風に当たると良い」と伝える意地悪な兄たち。真に受けた白うさぎは、ますますひどくなった痛みに大泣きします。
末子であった大己貴命は、兄たちの荷物をすべて背負わされていたために遅れて白兎海岸に到着。痛みに泣く白うさぎに体を真水で洗い、ガマの穂の花粉を敷いた上に寝るよう指示をします。白うさぎがその通りにすると、傷は癒え、元通りの姿になりました。
実は、これは日本最古の医療行為であり、薬の記述といわれています。
ガマの穂の花粉は蒲黄(ホオウ)と呼ばれ、止血や傷を治す作用があるそうです。
結果的に、八十神は八上比売に会うこともかなわず、大己貴命と八上比売が夫婦となるわけですが、ここで注目したいのは、大己貴命が医療を司っていたというところ。
その当時、薬草に詳しい先人たちがいたのだということを暗に表しているのです。
先人たちが感じ取った「神様の後押し」を読み取る
古代、今よりもずっと生きることそのものが困難な頃から、先人たちは生き延びてきました。
そのような状況の中、医療として確立するずっと以前、それが薬というものだと意識することもなく、身近な草花を活用してきたはずです。
生きていれば、ケガもすれば病気もします。治すためにはどうしたらよいかを考え、失敗しながらも薬となるものを生み出し、その方法を物語という形で語り伝えていく。それらが日本神話として残り、その後の時代の人たちが読み解いて活用してきた……ということなのです。
先人たちにとっての神様の後押しというのは、そのような知恵に気づくということだったのではないかと思います。
例えば、薬草もただ生えている状態では、そこに効能が書かれているわけではありません。
こう煎じたら、これとこれを練り合わせたら……とたくさんの経験、失敗の連続の結果、薬として役立てることができるようになってきたはずです。その参考となる神社や日本神話に隠された知恵。その知恵と出会わせてもらえることこそが、神様の後押しであると先人たちは考えていたのではないでしょうか。
日本神話をじっくり読んでいると、そのように思えてきます。
神話というものは、隠喩です。物語の中に隠され埋もれているものを発掘し、いかに謎解きをしていくのかというのが神話の醍醐味です。そのサポートをしているのがアテアの神旅®でもあるのですが、そのお話はまた別の機会に。
神社とウェルネスはきちんと繋がっている
神社や日本神話とウェルネス。
一見、繋がりがないようですが、こうして考えていくと、結びついているということが見えてくるのではないでしょうか。
現代を生きる私たちが、心身ともにより良く充実した時間を過ごし、人生そのものを意味あるものとして感じる生き方をしようとするのがウェルネスというもの。これから進んでいく未来のためには、健康や心身を整えるということが、一体どこから連なってきているのかを歴史をさかのぼって見ていくことも必要になってくるのです。
今、もしケガや病気にかかったとしても、すぐに病院に行けばいいわけです。さすがに、自分でその辺りに生えている草花を摘んで薬を作らなくてもなんとかなる時代です。
とはいっても、根本的には、私たちが生命体として持っている自然治癒力が生きる基盤であることには変わりありません。
先人たちは、実際に多くのケガや病気に苦しむ方々を目の当たりにし、観察したり分析したりといった経験値を積んで得てきた知識として、自然治癒力というものに気付いてきたはずです。
そして、さらに、私たちがいつ頃から生きるということに真剣に向き合ってきたのかというのは、遡のぼっていけば、日本神話の中にその片鱗が見え隠れしているのがわかります。
だからこそ、現代のウェルネスを成り立たせ、未来をつくっていくためには、そのためのさまざまな知恵を神社からひもとき、知っていく必要があると考えました。
そこで生まれたのが「神社ウェルネス®」というわけです。
神社や日本神話というのはウェルネスとかけ離れているようで、実は密接な関係があるということ。
そこで、漢方専門医・外科認定医である小暮晃子先生には漢方、私からは神社や日本神話という切り口でお伝えするのが「コラボセミナー『漢方の知恵』を思い出す!未来を創る鍵となる陰陽のエネルギー」です。
豊かな未来を手に入れるためにもぜひ「神社ウェルネス®」という考え方を取り入れていただけるとうれしく思います。
そして、日本神話もさまざまな視点で捉え、深く読み解いていくと新たな発見があるかもしれません。
こちらの記事では、日本神話を活用した「固定観念」の外し方についてお伝えしています。
人間は神様で、神様は人間? 日本神話を活用した「固定観念」の外し方
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