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私はこれまでに延べ2万社以上の神社に参拝してまいりました。現在も代理巡拝やプライベートにと日々神社に足を運んでいます。
私がなぜここまで神社に引きつけられ、足しげく参拝をするようになったのか。そして、歴史や神社風土史に興味と意味を見出すようになったのか。
幼い頃の記憶をたどりつつ、神社からどれだけさまざまな気づきを得られるのかをお伝えしたいと思います。
目次
神社が遊び場だった内気な子ども時代
私が日常の中で神社と関わるようになったのは、幼稚園児の頃から。幼稚園児、小学生の頃は神社の境内でよく遊んでいました。その頃は、もちろん「神社で参拝する」という感覚は全くありませんでした。
大人がやってきて、手を合わせている姿を見て「何をしているのかな?」と家に帰って親に尋ねてみたものです。「神様にお参りしているんだよ」と、教えられて初めて、「神社で参拝する」ということを知りました。
すると「なぜ神社に参拝をするの?」という疑問が湧いてきます。その神社の近くには、よく通っていた図書館があり、そこで神社について調べました。それが、私が神社に興味を持つ第一歩となったのです。
当時は、内気でなかなか人の輪に入っていけないような子どもでした。その神社は静かな場所にあり、公園が併設されているというわけでもありません。地面は土のまま、社殿と大きな御神木。小さい私は、その神社に行っては、図書館で借りてきた本を読んだり、物思いにふけったり。
「どうしたらお友達とうまく付き合うことができるか」。「どうすれば自分がやりたいことを形にできるか」などを考えていました。そして、実際に試したり、行動に移せずにそれを気に病みながら神社に戻ってきてはまた考えたり…。
今、皆さまにお伝えしている内省を神社の境内で1人行っていたのです。そんな子どもでした。
御神木を臨んで自分を振り返った中学生時代
中学に入学すると、片道30分の道のりを毎日歩いて学校に通いました。その通学路の途中、橋の上から小学生の時に通った神社の御神木が見えるのです。帰り道、ちょうど橋に差し掛かると住宅の屋根と屋根の間から御神木が目に入ります。その姿に向けて、「今日はこんなことがあったな」、「あの時はもっとこう言えば良かったな」など、自分を振り返る毎日でした。
仲の良い友達と2人で一緒に帰ることもありました。将来や進路の話や好きなもの、趣味の話などをしながら橋を渡ります。そんな時も御神木を臨みながら話に花を咲かせます。
御神木を相手に内省を繰り返す3年間でした。
実は、今でもその御神木に会いたいなと思ったらできる限りその神社を訪れています。加えて、東海道新幹線に乗ってもその御神木が見えるのです。品川駅を出発すると間もなく、その姿を見つけると見えなくなるまで目で追ってしまいます。
史跡巡りから深まった神社への想い
もう一つの神社とのつながりのきっかけは、やはり歴史好きになったこと。
小学4年生の頃、父が日本史人物の偉人伝の本を買ってくれました。背表紙に徳川家康の肖像画がある本です。小学校高学年になると社会科で歴史の授業も始まり、歴史好きな父ともいろいろと話をするようになりました。その流れから、史跡巡りをするようになったのです。
最初の史跡巡りは祖母の出身地・仙台行きから始まりました。仙台辺りといえば、伊達政宗のお膝元。実際に行ってみて知ったのは、青葉城にしても瑞巌寺にしても史跡にはほぼ神社が祀られていることです。
特にお寺の境内に神社があるのが不思議で帰ってから調べてみました。そして、「神仏混淆」という言葉に出会います。「日本の神様と仏教の仏菩薩が本来は同じであると考えて、同じ場所に祀る」というのはわかりました。
では、そもそも神社とお寺の違いとは何か。その点に注目して、いろいろなところを巡るようになります。
鳥居のあるなしや目に見える仏像があるかどうか。そういったわかりやすい違いから始まり、次第に神社は社殿という形から始まっているのではなく、鎮守の森やその土地そのものに重要性があることに気付きました。
神社の由来や宮司さんの話から、さらに自分で考えを深めていきます。昔の人は今よりももっと大変な暮らしをしていたはず。そうであれば、現在の人よりも神仏のような見えない世界を信じていただろうと実感しました。
好きをきっかけにさらに多くの神社へ
歴史好きになった頃、始めは、源義経と鎌倉時代にハマっていました。鎌倉時代といえば、見えない世界への恐れや慄きは半端なものではありません。怨霊にどう対するかといったことも出てきます。では、この思想においてそれらがどう祀られているのか知りたいという目的で神社に行くようになりました。
中学生になると武田信玄に魅了されます。そうすると行かなければならないのが川中島です。川中島は古戦場なわけです。そこに祀られている神社を訪れると小さい頃から通っていた地元の神社とは受け止める感覚がまったく違うのです。
「これは古戦場だからなのか? 自然が多い場所だからだろうか? では、別の古戦場だったらどんな感じがするのだろう」と、別の土地の古戦場にも行ってみたくなります。
京都や奈良は昔、古戦場でありながら、今は街として賑わっています。であれば、川中島とは違う感じ方をするのだろうかと、修学旅行ではできるだけ多くの神社を周れるように計画しました。
神社に敬意を払いながら分析と内省を繰り返す
そうして、各地の神社を比較しながら訪れるうちに、自分にとってホームと感じられるような神社に出会うことがあります。すると、同じような神社行ってみたいという願望が芽生えます。では、似たような要素というのは何だろうと分析するのです。似ているけれども違和感がある場合には、ご祭神や地域性、その土地の文化に違いがあるといったこともありました。
気付くと、多くの神社に足を運び、それぞれの神様に敬意を払いつつさまざまな文献や資料を読み込んで考える。そして、再び神社を訪れる……ということを繰り返していました。結果、延べ2万社の神社を参拝するに至ったわけです。
小さな私を支えた神社から始まり、日本全国のさまざまな神社を訪れ内省した結果としてのエッセンス。それが皆さまにお伝えする内省のヒントや神社風土史という形となっています。とはいえ、私自身もまだまださまざまな気づきを神社から受け取っているところです。これからも皆さまと一緒に感じ、考えていけたら、うれしく思います。
【関連記事】カギは五感? 自分に合う神社の見つけ方!
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