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日本人にちょうどよい現代の「合議制」を考える

2022年04月17日

企業組織には、大きくわけてトップダウン形式と合議制によるものとがあります。さらに近頃、注目されているのがティール組織。 次世代型の組織モデルといわれています。

今回は、ティール組織、そして、日本人に適した合議制について考えてみましょう。

ティール組織は電車ごっこ?

先日、ナンバー2と出会うのはなかなか難しいというお話をお伝えしました。

【関連記事】できるリーダーには必要? ナンバー2の重要性

良きナンバー2を探す大変さを考えると、いっそのこと、トップダウン形式ではなく、チームで経営に当たる合議制の組織を目指していくのもひとつの方法かもしれません。

合議制というと、最近注目されているティール組織は興味深いものだと思います。

ティール組織とは、2014年にフレデリック・ラルーの「Reinventing Organizations(邦訳本「ティール組織」)」で紹介された概念です。

ヒエラルキーのあるトップダウンではなく、フラットな組織で一人ひとりが自分たちの役割やルールを理解した上で意思決定を行い、目標に向かうというものです。

完全なティール組織を目指すには難しい部分もありますが、考え方は日本人に合っているかもしれません。

例えるならば、子どもの頃に遊んだ電車ごっこ。

紐で作った輪の中にメンバーが入って、前進していくイメージです。形の定まらない輪に全員が入って進んでいくわけですから、形がゆがんだり、個々のスピードが極端に違えば転んでしまったりすることもあります。そうならないで確実に前進するためには自分で足を動かしながらも、全員で協力していかなければなりません。

権力的にはフラットな状態でトップは存在しない。その環境のもとで働くことで当事者意識や仕事に対する自己責任という気概も育っていくものです。

優れたトップ、ナンバー2の指示によって動くのではなく、全体で前進していく優れたチームとなるわけです。

鎌倉時代の「13人の合議制」は事例となり得る?

さて、合議制やティール組織を経営に生かすにあたって、鎌倉時代の有力御家人による13人の合議制は参考になるものでしょうか。

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のタイトルにもなっている「13人」は、日本初の合議制のメンバーを指します。それまでのトップダウン形式の政治体制からの転換は歴史的に重要なポイントでした。

ところが、この合議制がスムーズに執り行われていたかというと、実際の史実としてはそうでもありません。御家人同士の権力争いが続き、13人の合議制は次第に崩れていきます。

そう見ると、13人の合議制は成功だったとはいえないかもしれません。でも、これら史実の流れは人間の心理の動きにより起こったことのはず。時代背景が異なるとはいえ、人間の心は、鎌倉時代でも現代でも変わらないでしょう。そうであれば、どのようなところに気をつければ失敗しないのかをここから知ることができます。上手くいかなかったことさえも有効な事例として活用できるのです。

13人の合議制からチームで成功するためのポイントを探る

13人の合議制を事例として考えると、組織やチームを成功に導くためには、メンバー同士で「誰かを出し抜く」、「疑心暗鬼になる」、「結託する」といったことはやめた方がよさそうです。

これら3つのことはやってはいけないと頭ではわかっているはずです。それでもやってしまうのはなぜでしょうか。

それは、自分ときちんと向き合えていないから。

「自分こそがすごい」と有頂天になっていれば「誰かを出し抜く」行動に出るかもしれません。

自分の苦手な部分を気にし続けていたとしたら、それが得意な相手を勝手に脅威と感じて「疑心暗鬼」に陥るかもしれません。

自分と向き合って、できること・できないことをニュートラルに受け止めておくこと。メンバー全員でそれができていれば、チーム全体でお互いの凸凹を合わせるように補い合ってちょうどよいチームが成立することでしょう。

もし、どうしてもその組織の中で上手くいかないようであれば「メンバーが入れ替わることもあり」という柔軟さでのぞむのがよいと思います。

新しい組織モデルも歴史の事例や先人の知恵も、同様にビジネスに生かせる味方です。生かせるものを柔軟に取り入れて、自分に合った組織やチームを組んで気持ちよく仕事ができるとよいですね。

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