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名経営者が大切にした「運」
企業を大きく育てた創業者や、後世に名を残すような経営者たちは、ビジネスの参考になるような書籍を数多く残しています。
松下幸之助、本田宗一郎、稲森和夫といった日本を代表する名経営者たちは、生き方や心構えなど、精神面を重視した書籍も著しています。
中には、「運」について言及したものもあり、ビジネスや人生においていかに「運」を大切にしていたかがわかります。
では、なぜ彼らはそうした「見えないもの=無形」について、書籍まで出して後進に語り継ごうとしたのでしょうか?
大きな成功を成し遂げた名経営者の方たちは、すべからくビジネスにおいては群を抜いた努力家であったはずです。
今、世の中で活用されているようなフレームワークやマネジメント手法は当然のこと、あらゆる方法や理論を試しつくしたことは想像に難くありません。
その結果、ビジネスのバックボーンには必ず「想い」「アイデア」「勘」「運」といった“無形”の力があることにたどり着いたからなのです。
明治維新から始まった日本の物質主義
「運」と聞いて、眉唾ものに感じる人も少なくないでしょう。
人によっては、「占いみたいなもので、あてにならないでしょ?」と思っているかもしれません。
また、ビジネスではさらにネガティブな印象になり、「運に期待するなんてご法度だ」と思う方もいるでしょう。
しかし、歴史を振り返ると、そう簡単には割り切ることもできなそうです。
実は、私たち日本人が持つ目に見えないものへのネガティブな印象は、明治維新以降につくられたものなのです。
明治期に世界の科学力や技術力を知った日本は、欧米列強による植民地化を防ぐために、富国強兵の道を突き進みます。いわゆる「近代化」です。
近代化こそ正義であり、成功の証だと考え、形あるものばかりに心を奪われていきました。(当時の世相を考えると、これも仕方がないことだったように思えます)
一方で、それまで日本で大切にされてきた独自の文化や自然感など、目に見えない感覚的なものはおろそかにされてしまうようになったのでした。
チャレンジして初めて気づく「運」のエネルギー
ここでよく考えてほしいのが、どれほど物質社会になったとしても、すべては無形からスタートしているという事実です。
例えば、電話が開発されたきっかけは「遠くの人と話したい」という人々の想いがあったからでしょう。
また、車や飛行機も「もっと早く移動したい」「目的地まで快適に過ごしたい」という願いがあったからこそ、誕生したといえます。
先人たちは、そうした想いや願いを実現するための方法をとにかく考え続けたはずです。
もちろん、そこには失敗があり、苦難があり、乗り越えなければならない壁があったことでしょう。
しかし、あきらめずに考え、トライし続ける毎日を過ごす中、ふとしたきっかけで課題解決の糸口が見つかり、画期的な商品やサービスが生まれることがあります。
この“ふとしたきっかけ”こそが、いわゆる「運」というエネルギーなのです。
名経営者たちは、ビジネスにおける数多くのチャレンジの中で、この「運」の力を感じる瞬間を幾度も体験したはずです。
だからこそ、晩年になればなるほど、“無形”をテーマにした書籍を残すようになったのではないでしょうか。
“有形”と“無形”のバランスが大事!
しかし近年では、そうした“無形”についての話を精神論や根性論と結びつけ、悪い意味で捉えられることも多いようです。ともすれば、パワハラなどの問題を引き起こす危険性すらあります。
なぜこうしたトラブルが起きるのでしょうか。
その答えは、意外と簡単です。
名経営者たちの「経験」を踏まえず、精神面だけを学び、活用しようとするからなのです。
仕事は“無形”とあわせて、技術や理論といった“有形”があって初めて成り立ちます。
つまり、想いを実現するための「型」を知らずに、メンタルや根性だけでなんとかしようとしても、成功は難しいということです。
物事をうまく進めるには、順序やバランスは非常に大切です。
何かに偏ってしまうと、視野が狭くなり、ミスを犯しやすくなるのは当然です。
先日、ついに東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言が出されました。また、石川県や愛知県も県独自で発令しています。
こうした非日常が訪れた時、何かにすがりたくなる気持ちが大きくなります。
また、これまで経験したことのない事態に直面した時、人は対処方法がわからず、動けなくなるもの。
このような時こそ、先人の知恵が必要です。
「運」や「ご縁」といった無形のもの、また、「型」や「理論」などの有形のものをバランスよく、フル活用すれば結果的に事態は好転するはずです。
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