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龍神や神様の話をすると、畏怖の念を抱いたり、災害や事故の原因と結び付けたりと、必要以上にこわがる方が少なからずいらっしゃいます。今年は辰年であり、さらに年明け早々から、大きな災害や事故が続いたこともあり、「辰年や龍神はこわい」と捉える声を多く聞き、先日も「龍神はこわいものではないですよ」とお伝えするためのブログを書きました。
龍神はこわい? バチが当たる? 龍神や神様に抱く気持ちの本当のところ
今回は、歴史をさかのぼり、水と龍神との関わりについてお伝えいたします。
目次
水運交通がメインだった江戸時代以前
現在、人や物資を運ぶものといえば、自動車や新幹線、飛行機と、より早く多くの物を輸送できる交通手段が多岐に渡って存在します。
ですが、江戸時代以前は、人間が自力で歩く、かごに乗る、馬に乗るといったほかに、流通のための輸送手段として大きな役割を担っていたのはなんといっても、船、水運交通でした。
鎖国をしていたため、外国まで行けるような外洋船はありませんでしたが、北前船が日本各地の港をまわっていました。米や昆布などの乾物、塩、砂糖、反物などをたくさん積み込み、流通の要となり、暮らしを支えていたわけです。
寄港地だった港町はにぎやかに栄え、そんな町では海の神様をお祀りしていました。海が荒れず無事に航行ができるというのは、経済が滞らずしっかりと守られるということです。と、同時に、津波や台風などが起これば、海沿いの町はひとたまりもありません。大自然の脅威から守ってほしいという意味でもお祀りしていたのです。
ということは、海の神様がお祀りされているところは、水運交通に関わりがあった土地であるという推測が立ちます。
明治以降、神社合祀が進められたことにより、いろいろな神様が混ざり合い、その土地特有の神様ではない神様が印象付いた神社も多くあります。
しかし、土地を見てよく調べていくと、海辺や湖畔沿い、川沿いにある神社には海や水にまつわる神様がお祀りされていることが多く、それはそこが水運交通の要であった可能性が高いということなのです。
ものすごい山奥の神社に海の神様がお祀りされていたり、お祭りのときの山車が船の形だったりということもあります。それは、山奥の川の上流まで、船を乗り換えて物資が運び込まれていたということ。
このように地政学の見地から歴史や神社を見ていくと、現在の地形や状況からは思いもよらない、先人たちの営みが浮かび上がってきます。
見る視点を多角的に変えていけば、目の前に存在するものとは別のものが見えてきます。これはビジネスの上で課題が生じた際の視点の切り替えの練習にもなります。
川、海、そして気象。先人たちが龍神を重ねて見ていたもの
そして、水運交通が重要な流通の手段であった先人たちが、川に重ねて見ていたのがまさに龍神でした。
川の流れ、海の潮流が、船をスムーズに運んでくれるよう、あるいは、荒ぶって船をひっくり返してしまわないようにと龍神をお祀りし、神社を建てていきました。
それは自分が拠点とする場所のみではありません。通っていく川の龍神、寄港する港の龍神、海の難所にお祀りされている龍神……と、スポットごとに立ち寄ってごあいさつをし、目的地に無事にたどり着けるようにと祈りました。
ただ祈っているばかりではありません。水の流れとともに目には見えない気流の流れも龍神として、注意深く観察していたのです。つまり、雲や空などの気象に対しても龍神であると捉えていたということ。水の上を行くには天候は命に関わる重要事項です。川や海、空の情報空間を肌で感じ取り天候の動きを読み取り、航行に生かしていたわけです。
情報空間を読み取り、危険を事前に察知する
さらに、長い航行を無事に乗り切るために、気をつけなければならないのは、自然の流ればかりではありません。
当時は、山賊や海賊があちこちに潜んでいました。
この地域は危険そうだから回避していこう。先を急いではいるけれど、今夜ひと晩は港から出ないでいよう。逆に、立ち寄ろうと考えていた港を一つ飛ばしてその先の港まで行こう……など判断するためには、さまざまな気配を察知する能力が必要とされます。
これはまさに情報空間を読み取る力です。人の気配は目には見えない無形のもの。それを敏感に感知する力がなければ、荷物も自分たちの命も守ることができません。
龍神にお参りをしてリフレッシュすることで五感は研ぎ澄まされ、情報空間から危険を察知する集中力や洞察力が磨かれます。
先人たちはそうして、龍神をお祀りし、祈ることで、自分たちの感覚を磨き、自然の脅威や人災を避けてきたのです。
科学的に読み解けば「龍神がこわい」わけではないとわかる
もちろん、現在は、気象状況や災害のメカニズムは科学的に解き明かされ、龍神が何かを引き起こしているのではないとわかっています。
けれども、先人たちにとっては、天候や水の流れが荒れるのは困りごとであり、命の危険にも繋がりかねない、こわいことだという認識だったと思います。それが龍神に対する畏怖となっていたのかもしれません。雷や大嵐が来れば、龍神をきちんとお祀りしていなかったから怒りに触れたのではないかと考えるのは、致し方ないでしょう。
今でも、人知を超えた自然のエネルギーというのは穏やかに作用すれば、私たち人間に豊かさをもたらすものですが、荒ぶった状態であれば大きな災害となってしまいます。
だからといって「龍神はこわい」と直接的に捉えるばかりではなく、先人たちの目線で龍神や神社を見つめてみることが大切です。科学的にわかっていることと、先人たちの知恵。両方を併せ持ち、ただこわがるだけではない、令和の龍神の捉え方へとアップデートしていきましょう。
情報空間について詳しくはこちらのブログをご覧ください。
【見えない世界の基本①】人も土地も物も。誰もが持つ情報空間とは
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