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5月5日は端午の節句ですね。節句は、季節の節目でありそれぞれの時期により意味合いや取り組むべき内容に違いがあります。桃の節句でもある3月の上巳(じょうし)の節句は物事が芽吹く時期であり、端午の節句はその芽吹いたものを実際に構築していく時期に当たります。
初夏はエネルギーが満ちて実行力が高まるので、それまでアイデアとして温めていたことを形にしていくにはうってつけの時期です。さて、アイデアと実行力といえば、戦国武将の中でも織田信長は抜きんでていました。今回はアイデアマン織田信長に注目してみましょう。
目次
農繁期の戦はご法度! 昔の戦は季節限定事業だった
日本では遠い昔から多くの戦が繰り返されてきました。しかし、1年を通して、いつでも戦に明け暮れていたわけではなかったようです。
戦において重要な戦力だったのが農民たちでした。足軽=農民というわけです。ですから、田植えや稲刈りの時期などの農繁期には戦を始めることはなかったといいます。
当時はもちろん農作業はすべて手作業で、家族総出で行います。そんな大切な時期に男手を取られてしまっては、農作業は思うように進みません。米が作れなければ、食料がなくて農民たちは冬を越せないでしょう。ですから、そんなタイミングで戦を起こしては領民の心が離れてしまいます。ましてや米ができなければ年貢を取ることもできません。
このような理由から、長いこと戦は農業のリズムに則って行われてきたのです。
経済力が戦を変えた。織田信長 の発想のすごさ
戦は農繁期を避けて起こすものという流れに一石を投じたのが織田信長です。
信長は、一年中いつでも必要なときに戦を起こせるよう体制を整えました。その際に農民を兵として取り立てるのではなく、常に動かすことができる専門の兵士を雇うことにしたのです。そのためにはお金が必要です。そこで、信長は「経済の力」でお金を得て兵力を充実させるという方法を編み出しました。
これまで寺社や公家が取り立てていた市場税や営業税を免除、同業組合的な存在であった座の特権を廃止する楽市楽座令により商人たちの自由な商売を促しました。
米などの農産物を中心として経済を回していたところを、商品の流通から収益を上げることに特化して経済を活性化していったわけです。
先見の明がありすぎても周りがついていけない
この他にも、信長が手掛けたのはそれまで誰もやったことのないものばかりでした。
●楽市楽座の商売を発展させたこと。
●量りを均等にし、安定させるため桝の大きさを統一していこうとしたこと。
●戦力として鉄砲を取り入れたこと。
●実力主義で豊臣秀吉をはじめとする新しい人材を登用していったこと。
そして、最たるものはすでに信長の目は世界に向いていたというところだと思います。
当時の武将たちがまだまだ自分の土地を守ることや、どこまでを領地として広げていこうかと考えているところを、信長はヨーロッパや中国を見据え、文明や政治体制などに注目していたのです。
キリスト教宣教師からヨーロッパにおけるさまざまな知識を貪欲に得ていたことからも、世界の中での日本の立場を把握し、天下統一後にはどう国際的に打って出ようかと熱心に思案していたのではないかと考えられます。戦国の世でこれほどまでにビジョンが壮大だと、周囲の武将たちにはなかなか理解ができなかったのではないでしょうか。
信長はアイデアマンで実行力もありました。しかし、先見の明がありすぎることで周囲がついていけずに孤立してしまったのかもしれません。当時の武将同士の思惑にはまだまだ謎の部分がありますが、信長が天下統一まであと一歩のところで倒れてしまったのは、この辺りの事情も絡んでいるのかも……と想像してしまいます。
信長から教訓を得る
これを現代のアイデアマンに当てはめるとどうでしょう。
先見の明があるのはリーダーとして素晴らしいこと。でも、勢いにまかせて突き進んでしまうと、孤立を深めてしまうリスクがあるのは信長と同様かもしれません。
発想力豊かなアイデアマンにこそ、そのアイデアを分かち合える優秀なチームが必要なのではないでしょうか。
信長のようなアイデアはリーダーの強み。さらに、そのあふれるアイデアを大いに生かすためにもよりよいチームビルディングで実行力を倍増していけるとよいですね。
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